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京都地方裁判所 平成7年(わ)937号 判決

裁判所書記官

牛窓信孝

本籍

京都府綴喜郡井手町大字井手小字南猪ノ阪二二番地

住居

同町大字井手小字橋ノ本一六番地の一

会社役員

林田三郎

昭和六年二月一七日生

右の者に対する所得税法違反事件について、当裁判所は検察官高野芳雄出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一七〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は京都府綴喜郡井手町大字井手小字久保四八番地の一において、「林田組」の屋号で産業廃棄物処理業等を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  平成三年分の実際総所得金額が八三八二万〇六四一円であったにもかかわらず、所得金額を過少にした所得税確定申告書を作成するなどし、その総所得金額のうち七一一七万八九〇〇円を秘匿した上、平成四年三月一六日、京都府宇治市大久保町井ノ尻六〇番地の三所在の所轄宇治税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一二六四万一七四一円で、これに対する所得税額が二八四万六八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、平成三年分の正規の所得税額三七五六万五五〇〇円との差額三四七一万八七〇〇円を免れ、

第二  平成四年分の実際総所得金額が四一一八万八二二二円であったにもかかわらず、前同様の行為により、その総所得金額のうち三五三四万六八五四円を秘匿した上、平成五年三月一五日、前記宇治税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五八四万一三六八円で、これに対する所得税額が六六万六四〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、平成四年分の正規の所得税額一六一三万一五〇〇円との差額一五四六万五一〇〇円を免れ、

第三  平成五年分の実際総所得金額が七九三五万三九七二円であったにもかかわらず、前同様の行為により、その総所得金額のうち六四七八万〇一五八円を秘匿した上、平成六年三月一四日、前記宇治税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一四五七万三八一四円で、これに対する所得税額が三五四万円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、平成五年分の正規の所得税額三五二三万九五〇〇円との差額三一六九万九五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき、被告人の当公判廷における供述及び第二回公判調書中の被告人の供述部分のほか、検察官請求証拠等関係カード記載の番号一(以下、証拠カードでは算用数字になっているが、漢数字で表示する。)、三、四、六、八、一〇、一二、一三、一五、一七、一九ないし二一、二六、二九、三五、三六、四九ないし五一、六四ないし六七、八二ないし八四、八七、九一ないし九三、九六、九八、一〇二ないし一〇七、一二七ないし一四二、一九三、一九四、一九八ないし二四五と同一であるから、ここにこれらを引用する。

ただし、同カード記載の立証趣旨欄の公訴事実の別について、第一、第二、第三の事実は、順次判示第一、第二、第三の事実に該当する。

(法令の適用)

一  判示所為の該当法条

いずれも所得税法二三八条(懲役と罰金を併科し、罰金については同条二項も適用する。)

二  併合罪加重

懲役刑につき刑法(平成七年法律九一号による改正前の刑法、以下、刑法を適用する場合はいずれも同改正前の刑法であり、その記載を省略する。)四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をする。)

罰金刑につき刑法四五条前段、四八条二項

三  労役場留置

罰金刑につき刑法一八条

四  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判長 正木勝彦)

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